富国強兵を進めていた明治新政府が直面していた問題は、国内における資本蓄積の不足でした。各藩の財政も、新政府の財政も、さらには、未成熟であった民間組織においても、資本蓄積はほとんどなく、先進諸国からの借金に頼るしかありませんでした。明治新政府は、諸外国に対して外貨建ての日本国債を発行し、海外からの資金導入を行い、その資金を利用して、日本の近代化に必要な工場の整備を実施しました。その例は、製鉄では八幡製鉄所、絹紡績では、富岡製糸工場などに見られます。政府は、外国から導入した資金を投入して、近代的な工場を建設し、新型の機械設備を海外から輸入し、設置して、生産業務を開始しました。この官営工場における経験を基礎に、人材を育成し、将来の民間による自営を目指しました。国家の運営による「官営工場」は、そのための社会的な準備でした。
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